石田梅岩魂を現代に

　　　　　　　　　『先哲・石田梅岩の世界』　

　　　　　　　　　　寺田一清先生「序文」より抜粋   / 一冊結実の慶び

​

　　　　　　　　　　　清水氏は、信州・上田市のご出身で、真摯な学究肌の

　　　　　　　　　　お方で、多年、イズミヤ総研の代表を務めあげられ、

　　　　　　　　　　定年退職を迎えられた現在、かねてより、多年にわたり

　　　　　　　　　　研鑽の、石田梅岩研究の成果として、このたび一冊結実　　

　　　　　　　　　　の挙に到りましたことは、欣(よろこ)びに堪えない次第で

　　　　　　　　　　あります。

　随って、本書の序文執筆の依頼をうけ、先に貴稿を拝読させて頂き感じましたことの第一は、実に簡潔に要領よく梅岩先生の開悟体験や日常実践のお人柄を、おまとめ頂いている点であります。そして第二には、その一語一語の表現は、やさしく明快にして、中高生にも読み易く、まとめて下さっている点であります。 　

   とりわけ「付言」としての注釈を楽しくかつ有益に拝読しましたが、梅岩先生参究の陰に、幾多の膨大な資料に眼を通しておられるかが窺(うかが)われ、さすがにと感銘を深くしました。日本の偉人先哲をはじめ、卓(すぐ)れた先覚者の多くが、先哲石田梅岩の真価に注目して頂いていることを知り得たことは、何よりの慶びであります。とにもかくにも、この一篇の著述に、梅岩先生の商人として学者かつ修道者の本質について、著者の多年にわたる「心願」と「探求」の一念がこめられているのを感じ、畏敬の念を禁じ得ないのであります。