【意訳】(手島堵庵は言いました)。私は少年の頃から、歳をとって隠居した後には、人に人たる道を説きたいという志を有していましたので、そのときになって人から私の行動を非難されないように、心がけてきたことがあります。それも、項目が多いと実行しにくいと思い、次の三つを戒めにしてきました。
一.家の事業に精通せず、業績が悪化してしまうこと
二.異性への色欲に迷うこと
三.親戚と仲よく交際しないこと
【原文】われ少年の時より、老いて後は道を説くべき志ありし故、その時人より難ぜられぬ様に心がけり。これも事多ければ勤めがたしと思い、
一.家業にうとくして門おとろうこと
二.色欲にあやまること
三.親戚と睦ましからざること (手島堵庵先生事蹟)
【付言】子供のしつけ教育
手島堵庵は京都を中心に活動し、師の教えを石門心学として体系化・組織化し、教勢拡大に多大な貢献をなしました。
また、子供向けに『前訓(ぜんくん)』を著して、朝の拝礼の順、食事の作法、両親の言いつけを守ること、言葉遣いなど、日々の留意点をわかりやすく指導しました。席は大人と同様、男女を分け、女子の席には簾をかけました。
写真は手島堵庵が住居した五楽舎跡。
Comments