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四国巡行②~半田素麺の製造販売・北室白扇~

執筆者の写真: 大和商業研究所大和商業研究所

社是に石田梅岩精神を掲げている会社が徳島県美馬郡つるぎ町(旧半田町)にあると、かねてから聞いていた。

ここ(旧阿波国美馬郡半田村)は石門心学が栄えた地であり、江戸中期・文化5年(1808)に心学根心舎が創設されている。2015年に根心舎子孫・篠原俊次氏に舎の史蹟群を案内して頂いたことがある。半田支所前には立派な「半田根心舎由来碑」が建立されており、そこには「弘化4年頃、根心舎は廃絶し、50余年間の教学活動の幕は閉じたのであるとは言え、その影響は永くこの地に残り、半田の商業の活性化の源泉となり、この地、住民独特の温雅な気風を育て、明治・大正の頃まで余韻を持ち続けた」と銘記されている。

今回は、心学舎の名残をどのように受け継いでいるかどうか、北室白扇の北室淳子常務に社是制定のいきさつなどをお聞きし工場を視察した。

半田は元々漆器の町で、山の木を加工して漆を塗り、吉野川を使って全国へ出荷していた。職人気質の強い地域であったたが、昭和の前半に衰退した。何か産業をと当時の町長が素麺に目をつけて、農協が資材や原料を供給した。従来から冬の農閑期には素麺づくりに精を出す農家が多かったとのこと。北室家も淳子常務の祖父・浅太郎さんの代から家業とし、母・サキさんの代に浅太郎さんの指導を受けて家業から企業へ。1977年に法人化した。

平成になり町村合併の話が出てきて、地域において「半田町の名前が無くなる」との危機感が生まれ、アイデンティティを忘れずに、ルーツを知って合併相手ともお互い同士と理解を深めようと、地方創生のために若手経営者による街づくり勉強会「つるぎの会」を始めた。学びから多くの得る所があった。バブル崩壊や流通・消費環境の変化などの経営危機もあったが、それを乗り越えるために着目したのが江戸時代の根心舎であり、石田梅岩・心学精神を社是に取り入れたとのこと。

企業理念は「石門心学の心にならい、“勤勉・誠実・正直”」「仁義礼智の心でお客様との信頼を築く」とあり、その解説として「今から約200年前の江戸時代後期、半田の地に学び舎があった石門心学・根心舎は、勤勉・誠実・正直を理念として、人としての道、本心を見つめる心学とは何かを説き、多くの生徒を輩出しました。ものづくりや商いをしながら心を学ぶ、という半田に伝わる教えは、商いの中で、日々の暮らしの中で仁・義・礼・智の四つの心を実践することにより勤勉・誠実・正直の正しい心構えを養うことができるというものです。この地の風土と人柄に醸成された石門心学の心と北室白扇の作る半田素麺の合一を目指し、心を新たに歩んで参ります」と判りやすく自社の根本信条を述べている。

現在、同社の販売の7割はネット直販。地域の若手経営者との協調や切磋琢磨で生き生きと働いている様子が伺え、当方もハッピーな気持ちになる。これも梅岩先生がつないで戴いたご縁である。新たな町起こしや製造・販売への克己の様子を、私としても知りうる限り伝え、応援していきたい。

帰宅していろいろな麺を試食したが、半田麺は太さも触感もしっかりとした食べごたえがあり私の好みだ。鍋で食べるのにぴったり。美味しく頂いた。

なお、同社のHPは以下の通り。


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石田梅岩魂を現代に

このサイト「石田梅岩魂を現代に」は石田梅岩に関する情報を自分のビジネスに活用して頂くために大和商業研究所が提供しています。このホームページで梅岩の真髄に触れ、自身の中に有する潜在的な力を引き出していただくことが「梅岩力」の意味するところです。

「永続的に栄える」とは

石田梅岩先生の願いはただ一つ。

人も組織も永続的に栄えること。

その為には偉人・聖人に学べ

ということです。

先生の著書『都鄙問答』『斉家論』で、

その思いが各所に出てきます。

一例

「商人の道を知らざる者は、貪ることを勉めて家を亡ぼす。商人の道を知れば、欲心を離れて仁心を以って勉め道に合(かの)うて栄えるを学問の徳とす」

(都鄙問答)

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