戦後、ハーバード大学のロバート・ベラー教授は『日本近代化と宗教倫理』を著し、マックス・ウェーバーのプロテスタントの倫理性が西欧の近代化・資本主義の発展に寄与したという説を基に、日本においては石門心学を中心とする江戸期の宗教がプロテスタントの倫理性に代わる役割を担ったとの考察を発表しました。
山本七平は、ベラーに触発され「鈴木正三(しょうさん)、石田梅岩のエートス*が、世俗内禁欲を生み、それが日本資本主義精神に伝えられる」として、わかりやすく心学の現代的意義を述べました。
*エートス:ある民族や社会集団にゆきわたっている道徳的な慣習・雰囲気(広辞苑)
また心学研究家の石川謙先生、柴田実先生、竹中靖一先生などの大部の資料により、梅岩先生の偉大な足跡が残されています。
心学講舎の現在の活動
(一社)心学明誠舎(大阪市)は、講演会や舎員の交流会、ホームページなどで、頻繁に心学の啓蒙活動を行っています。
(一社)心学修正舎(京都市)は毎月の会(かい)輔(ほ)を継続し、心学精神に則り舎員に学びの場を提供しています。
(一財)石田梅岩先生顕彰会(亀岡市)は出生地にて梅岩先生の遺徳を偲ぶ墓前祭、梅岩フォーラム、梅岩まつり等を開催しています。
江戸期、心学講舎は全国に182舎ありました。建物や資料が残存する地もあり、各地を訪ねて志を共にする人々と教えの再興を図りたいものです。天地人の恵みに感謝して、実践者の集う社会を実現して参りましょう。
(写真は、心学明誠舎サマーセミナー、大蓮寺にて講師は秋田光彦住職)
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