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『先哲・石田梅岩の世界』49 「文字芸者」「文書箱」

【意訳】書物を読んで、書物の心をつかまなければ学問とは言えません。聖人の書物には聖人の心が籠っています。しかし文字のみを追っているのでは、一芸しか知らないから「文字芸者」と呼びます。

【原文】書を読みて、書の心を知らざれば学問とはいわず。聖人の書は自ら心を含めたまう。その心を知るを学問という。然るに文字ばかりを知るは、一芸なるゆえに文字芸者という。(都鄙四「学者行状の心得難きを問うの段」


梅岩先生の儒学理解は始祖以上

【付記】「文字芸者」とは幕府の御用学者などに対する痛烈な批判ですね。「文書箱」とも表現しています。先生から見て、彼らは古典の解釈やその議論にいたずらに時間を費やすのみで、人々の幸せに役立っていないと、断定せざるを得なかったのでしょう。

 東洋思想研究家の木南卓一先生は、梅岩先生の儒学理解を、次のように称えています。「程朱性理の説※には極めて深い体認が籠っているが、梅岩はこの性理の説を世間一般の程朱学者とは異なって、程朱さえも未だ説かなかったともいうべき性理学の秘奥(ひおう)を開(かい)顕(けん)するという趣がある」(『石田梅岩私新抄』)。

 梅岩先生は、正規の学びの機会が得られなかったからこそ、大悟体験に基づく独自の言句で、自らが体得した心を語りました。

※程朱学:程顥(ていこう)・程頤(ていい)・朱熹(しゅき)の学説(朱子学)。江戸幕府の正学。


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